
あまりにも急速な少子化の局面
中国の急激な人口減少と少子化の問題は今に始まったものではないですが、最近の報道で、
「 2021年からの 4年間で幼稚園児の数が 1200万人以上減少した」
という数字が出されていまして、もともと人口の多い国ではあるにしても、1200万人の減少というのはインパクトがある数字だな、と思いました。
中国の出生率は、2023年に「1949年の建国以来最低に」落ち込み、その後も上昇に転じていないですので、2025年の今は、さらに人口の減少が加速していると見られます。
何より中国では、幼児の数の減少が著しくなっていまして、
「 2023年には、1年間で幼児の数が前年比で 500万人以上減少した」
この「幼児」とは「幼児教育を受けている子ども」のことで、主に幼稚園児のことになると思われますが、1年間で 500万人ペースで減っているのなら、今回の「 4年間で幼稚園児が 1200万人以上減った」という数も、特に不思議ではありません。
いかに人口の多い中国とはいえ、若い人たちが減少し続けることは、時間が経つにつれて国にとっての影響も大きくなりそうです。
現在の中国では、
「 1時間ごとに 2つの幼稚園が閉鎖されている」
状況だそうで、しかも好転する気配はないようです。
極端な少子化は日本の方が先んじていますが、韓国や台湾などを含めて、東アジアの少子化とそれに伴う人口減少はいよいよ加速しているようです。
エポックタイムズ中国語版の報道をご紹介します。
幼稚園児が4年間で25%減少、中国の人口危機が顕在化し始める
幼兒園學生4年銳減25% 中國人口危機初現
Epoch Times 2025/07/26

過去 4年間で、中国の幼稚園の児童数は 4分の1減少し、4万園の幼稚園が閉鎖され、残りの幼稚園も存続に苦戦している。これは、中国の急激な出生率低下が教育制度に与えた影響を浮き彫りにするとともに、人口構造の大きな変化によって最初に倒れたドミノ倒しでもある。
中国共産党教育部のデータによると、2020年から 2024年にかけて、幼稚園に通う児童数はピーク時の 4,800万人から 1,234万人減少し、 25%以上の減少となった。
また、在籍児童数も 34%急減した。3歳から 5歳児を対象とした教育サービスを提供する幼稚園の数も、ピーク時の 2021年の約 29万5,000園から 4万1,500園減少しており、これは 1時間ごとに 2園が閉鎖されている計算になる。
中国は現在、世界で最も急速に人口減少が進んでいる国の一つだ。
就学前教育システムの児童数の減少は、中国の人口減少が社会と政府に深刻な影響を及ぼすことを示唆している。なぜなら、幼稚園の閉鎖の波は、中国の人口危機の影響のほんの始まりに過ぎないためだ。
中国国家統計局の国勢調査データによると、中国は 2024年まで 3年連続で人口減少に陥っている。この結果は、1979年に実施され 2016年に終了した「一人っ子政策」に関連している。
さらに、中国の人口構造も大きな変化を遂げ、「逆ピラミッド」を形成し、高齢者人口が増加し続け、子どもの数は減少し続けている。
中国共産党の公式データによると、2024年末までに中国の 60歳以上の人口は 3億1000万人に達し、総人口の 22%を占める。そのうち、 65歳以上の人口は 2億2000万人に達し、総人口の 15.6%を占める。
著名な中国の学者ゴードン・チャン氏はかつてニューズウィーク誌に、中国の人口減少の原因は深刻な社会変化、継続的な経済不況、そして深刻化する不況にあると記した。今日の中国の若者は、自らを「中国最後の世代」と呼んでいる。
荘延芳氏は浙江省金華市で 3つの私立幼稚園を経営している。最盛期には 1,000人以上の園児がいたが、現在はわずか 150人だ。
「出生率の低下に伴い、幼稚園の児童数が大幅に減少している」と荘延芳氏はフィナンシャル・タイムズに語り、高齢化が急速に進むこの地域の私立幼稚園の 90%が閉鎖されたと推定している。
香港科技大学老化研究センター所長で人口統計学者のスチュアート・ギーテル・バステン氏は、中国の出生率は 5~ 10年前と比べて急激に低下していると指摘した。
彼は、幼稚園就学率の減少傾向は中国の人口構造に深く根付いており、逆転させることはできないと考えている。しかし、中国の教育システムの巨大なインフラ、例えば建物や設備にどう対処するかは、より困難で差し迫った問題だ。
荘延芳氏は人口構造の変化を深く感じている。2023年には、荘延芳氏は、幼稚園の一つを 42床の老人ホームに改築した。現在は 16人の高齢者しか入居していないが、彼女は地域の約 200人の高齢者を対象に、社会活動の企画や食事の提供を行っている。
しかし、このサービスの変革は課題にも直面している。なぜなら、ほとんどの高齢者は、特に健康状態が良好な場合、他に選択肢がない場合にのみ介護施設で生活することになるからだ。
「今後数年間、どうやって生き残っていくかだけを考えています」と荘延芳氏は言った。「閉園を選ぶ人もいるでしょうが…持ちこたえられたらと思っています」
中国私立教育協会 幼児教育委員会が 2022年に実施した調査によると、私立幼稚園の 84%が資金不足に陥っている。
そのうち、負債額が 50万元 (約 1000万円)を超える幼稚園は 38.2%を占め、負債額が 160万元 (約 3300万円)を超える幼稚園は 12%以上に達した。負債のない幼稚園はわずか 1.5%に過ぎない。現在の状況は 2022年よりも悪化している可能性がある。
中国本土メディア「第一金融報」によると、中国では多くの幼稚園が老人ホームに転換したり、「老若共同介護」モデルに変更したりして、居住者に高齢者介護と育児サービスを提供している。