たった2カ月ほどで変化した寧夏省の光景の以前との比較。右が現在
Jim
中国の寧夏省(正式には、寧夏回族自治区)という自治区があります。
以下のような場所にあり、基本的に「砂漠」地帯です。マップで見ても、緑の部分がとても少ないことがわかります。
寧夏回族自治区
Google Map
この省で、今年 8月の平均降雨量が平年の 5倍から 10倍(500%から 1000% !)に達したことで、
「砂漠の風景が緑に変わった」
ことが報じられています。
報道には以下のようにありました。
中国北西部の寧夏回族自治区で、2024年8月に月平均の 5~ 10倍の降雨量を記録し、砂漠の風景が美しく緑豊かな景色に変わった。
撮影された画像を見ると一目瞭然で、2024年8月をまたいで、以下のように変化したのだそうです。
以前の寧夏省の光景
Jim
異常な降雨量の8月を過ぎた現在の光景
Jim
上空から撮影した変化の様子が以下の動画で示されています(ちょっと音楽がうるさいです)。
The rainfall in Ningxia, Gansu and Inner Mongolia in northwest China in the past month was 5 to 10 times that of the same period in normal years. The original desert has turned into grassland! pic.twitter.com/NaJmlfPPhs
— Jim (@yangyubin1998) September 18, 2024
これを見て思い出すのは、8月の In Deep で取り上げました「異常な降雨によりサハラ砂漠が緑化する可能性」についてのことです。
(記事)サハラ砂漠で今後「数日間で数年分の雨が降る」予測から見る、すでに始まっている地球規模の大きな変化
In Deep 2024年8月28日
平年より 500%以上多い雨量などという、カテゴリーとしては「異常気象」に相当する雨で、「長い間砂漠だった場所が恒久的に緑化する可能性がある」ことについての話でした。
この中国の砂漠がこのまま緑化していくのかどうかは今の時点ではわからないですが、一度、植物が「生命」を得た場合、何しろ現在の地球の環境は、「植物の成長にとてもいい条件(二酸化炭素が多いと植物は少量の水でも強く成長できる)」ですので、緑化が続く可能性もあるのかもしれません。
なお、サハラ砂漠のほうは、その後、「順調に緑化中」です。
衛星画像が、サハラ砂漠の緑化が進行している様子をとらえています。
以下は、1年前のサハラ砂漠(ニジェールのタヌート)と、今年の 9月の緑の増加を示している衛星画像です。
昨年と今年(右)のサハラ砂漠の同じ場所の衛星画像
watchers.news
サハラ砂漠では、9月の月間雨量が、「平年の 500%になる」と見込まれていまして、今後も緑化の範囲が拡大する可能性があります。
この原因のひとつが、アフリカに雨をもたらす気流(熱帯収束帯)の位置の変化であり、また海流の変化も関係していることを考えると、「地球全体の変化」のひとつであるともいえます。
ということは、過去数百年、数千年、砂漠だった場所が水が豊富で緑が多い地域となっていく可能性のある一方で、他のどこかの地域では、
「それまで降っていた雨がまったく降らなくなり、砂漠化していく」
という地域も出てくるはずです。
本格的な変化には長い時間がかかるのかもしれないですが、一時的にしても、単に緑化するには、たった 1カ月か 2カ月の雨量の異常だけで十分であることも知ります。