2025年7月29日 洪水から逃れる北京の市民

公視新聞網
おそらく北京の観測史上で最大レベルの集中豪雨
7月28日に、中国気象当局が「北京市に最高レベルの洪水警報を発令」しました。
その後、本格的な豪雨が、北京市とその周辺を襲い、7月29日までに、少なくとも 30人が死亡したと発表されています。しかし、まだ救助されていない人たちの情報が多く、また、行方不明者の数も曖昧なことから、被害はさらに大きなものとなっている可能性が高いです。
浸水範囲も広いため、経済的な被害もかなりのものになると見られます。
中国の洪水というのは、最近数年では夏に必ず起きる自然災害のひとつとなっていますが、昨年 2024年も、7月だけで 300人以上が洪水により死亡あるいは行方不明となっています。
今年も、6月に中国南西部で「 50年に 1度レベルの大洪水」が発生していますが、どうも、年々、中国の洪水の規模は激しくなってきているようです。
今回の北京の洪水も、いくつかのダムでは「過去最大の流入量を記録した」と報じられていて、もしかすると、今回の雨は、集中豪雨としては、過去最大くらいに近いものなのかもしれません。
ここまで年々、豪雨と洪水が激しくなっている根本的な理由は基本的には不明ですが、まだ、雨のシーズンはしばらく続くと見られ、現在の中国における自然災害では「洪水」というものが最も重大な災害のひとつになっているようです。
報道をご紹介します。
北京の洪水で多数の死傷者が発生した
洪水淹北京酿重大伤亡 市郊铁路全停运 画面曝光
NTDTV 2025/07/29
ここ数日、北京は豪雨と山岳地帯の急流に見舞われ、貯水池からの放水により、甚大な災害と多数の死傷者が出ている。
多くの人々の家屋や農地が破壊され、多くの地域で断水と停電が発生し、多くの車両が洪水に流されている。
中国本土メディアの報道によると、降雨の影響でここ数日、北京市、河北省、内モンゴル自治区、山西省、甘粛省、福建省、雲南省などの 16の河川で警戒水位を超える洪水が発生し、最大水位は警戒水位を 3.48メートル超えた。
7月28日22時30分、北京市水利局と市気象局は共同でオレンジ色レベルの浸水警報を発令した。28日23時から29日8時まで、海淀区、豊台区、通州区、朝陽区など市中心部の市街地は浸水の危険性が高いと予想される。
北京市気象台は 7月28日12時、大雨の赤色警報を発令した。28日20時から 29日7時まで、北京市の大半の地域で 6時間降水量が 150mmを超え、一部地域では 300mmを超えると予想されている。
山岳地帯や低山地帯では、山崩れ、土石流、地滑りなどの災害リスクが極めて高く、低地では深刻な浸水が発生する可能性がある。
7月28日24時現在、北京市の平均降水量は 165.9mmで、密雲市廊坊嶼と朱家峪では 543.4mmと最も降水量が多かった。密雲ダムの最大流入ピーク流量は毎秒 6,550立方メートルに達し、過去最大のピーク流量を上回った。
7月27日、北京の多くの貯水池で洪水が放流された。密雲貯水池に加えて、懐柔区には大水嶼貯水池、北泰上貯水池の 3つの貯水池があり、平谷区には海子貯水池、西嶼貯水池、黄松嶼貯水池、楊家台貯水池、花嶼貯水池がある。
中国共産党は7月29日、7月28日24時現在、北京市で豪雨により 30人が死亡したと公式発表した。
そのうち密雲市では 28人、延慶市では 2人だった。被災地では 31本の道路が損壊し、136の村で停電が発生し、通信施設の光ケーブル 62本が損壊し、1,825の基地局が機能停止し、8万人以上が避難を余儀なくされた。
しかし、中国共産党は災害情報を隠蔽することが多く、実際の状況は公式発表されたデータよりも深刻である可能性がある。
継続的な大雨と貯水池の放水により、北京周辺の多くの地域で洪水と土砂崩れが発生し、密雲、懐柔、順義、通州などの下流の多くの地域で広大な水域が発生した。
中でも、鳳家鎮口門子村は特に深刻な被害を受けた。27日午前5時頃、白河支流の洪水が瞬く間に河岸を氾濫し、20分以内に村の道路が冠水した。洪水は木の幹や瓦礫とともに道路に流れ込み、一部の住宅は 1階の窓枠の高さまで浸水した。
中国新聞網によると、密雲区太石屯鎮付近の複数の住宅地や村が包囲され、多くの車両が流された。村人たちは、朝、家のドアを開けた途端、水に流されたと話した。水は胸まで達し、1時間以上電柱につかまって救助されたという。
7月29日には北京のネットユーザー「niannianwei」は以下のように投稿した。
「私の故郷である河北省承徳市 興隆県 六道河鎮楊家台村は、大規模な洪水と土砂崩れの被害を受けました。道路は寸断され、停電し、死傷者も出ています。村民はまだ避難できていません。助けてください」

河北省承徳市楊家台村は大規模な洪水と土砂崩れに見舞われた。
続けて、このように書いた。
「どうか、本当に無力です。誰か助けていただけませんか? 村人とは丸一日連絡が取れず、何度も電話をかけましたが、救助のタイミングを逃してしまいました」
「先ほど村から人が出てきたのですが、最新の情報では、まだ救助を待っている人がいて避難できないとのことです。村に通じる道路はすべて崩壊し、電気も通信も途絶えています」
29日、別のユーザーが、北京近郊の河北省興隆県への支援を訴えるメッセージを投稿した。
「豪雨が猛威を振るい、興隆県のすべての郷で停電とインターネットの遮断が 2日間続き、通信も途絶えています。数十人が死傷しているにもかかわらず、救助隊や支援は届いていません。興隆県は北京に非常に近いにもかかわらず、誰も関心を示していません。河北省は壊滅的な被害を受けています」
「ジャーナリストの皆さんの支援が必要です。2日間、家族と連絡が取れていません。村全体から何の連絡もなく、車も入れません。とても不安です。土砂降りが続いているのに、避難できる人はいません」
7月28日夜、習近平総書記は、ここ数日、華東、華北、東北地方で大雨が降り、北京、河北、吉林、山東などの地域で多くの死傷者と物的損害が発生したと述べた。
同時に、李強首相も北京市密雲区の大雨洪水災害で多くの死傷者が出たと述べ、行方不明者の捜索救助を呼びかけた。
