9月23日のルクセンブルクの報道より
today.rtl.lu
イタリアで、アフリカ豚熱(アフリカ豚コレラ)の感染が深刻になっていることが報じられています。
アフリカ豚熱といえば、2019年には、中国で「 1億頭」の豚が殺処分されたことを思い出しますが、とにかく感染力が著しいものであり、たとえば、日本では、アフリカ豚熱の発生が確認された国からは、
「豚肉や豚肉加工製品すべての輸入が禁止される」
という措置があるほどです。
豚肉加工食品とは、ハムとかサラミとか豚肉を使った食品すべてです。
実際、日本ではイタリア産の生ハムなどの輸入が 2022年から禁止されています。
飲食店系の専門サイトより
イタリア産生ハムの輸入停止の背景にあるのが、アフリカ豚熱(ASF)という致死率が高い伝染病の発生です。日本では、2022年1月、イタリアの北西部にあるピエモンテ州でアフリカ豚熱が確認されたことを受け、イタリアからの豚肉等の輸入を停止しました。
今回の措置により、多くの飲食店がイタリア産の生ハムを仕入れられなくなり、イタリア産生ハムを使ったメニューの販売停止や切り替えを余儀なくされています。
イタリアでは、このアフリカ豚熱の感染がさらに拡大を続けているようです。
2023年12月には「中国で再びアフリカ豚熱の感染拡大が起きている」ことを示した中国四川省の畜産協会の文書が流出しています。以下の記事で取り上げています。
(記事)またも中国でアフリカ豚熱の感染拡大が深刻になっていることが流出した公式文書で判明
地球の記録 2023年12月18日
2019年には、「世界の 4分の1の豚がアフリカ豚熱で消滅した」とされています。これには、殺処分と病気による死亡の両方が含まれます。
その際には、世界 50カ国に拡大していましたので、そういう大きな流行が再び起きるのかどうかという話でもあるかもしれません。
イタリアの状況をご紹介します。
生ハムを守る:イタリアはアフリカ豚熱と闘っている
Protect the prosciutto: Italy battles swine fever
today.rtl.lu 2024/09/23
アフリカ豚コレラ(ASF)は世界的に有名な生ハムを含むイタリアの200億ユーロ(約 3兆2000億円)規模の豚肉産業を脅かす感染症だ。
養豚農家のアルベルト・カヴァニーニさんは豚コレラのために飼育中の豚 1,600頭を殺処分した。
豚にとって致命的で経済にも壊滅的なこの病気は、特にロンバルディア州、ピエモンテ州、リグーリア州といった北部の地域に影響を及ぼしており、その蔓延は隣国フランスを不安にさせている。
公式統計によると、イタリアでは今年 2022年1月から9月までの間に、50の農場で約 2万5000頭の豚と約 2500頭のイノシシでウイルス感染の症例が記録された。
カヴァニーニさんは複数の農場を所有しており、殺処分による打撃は和らいだが、「多くのブリーダーは農場を 1つしか持っていないため、家畜をすべて失ってしまいます」と、AFP に語った。
2024年だけでも、イタリア全土で 5万〜 6万頭の豚が殺処分されている。
EU の専門家たちは 7月に地中海沿岸諸国を訪問した後、イタリア政府の危機管理を批判した。
「北イタリアの全体的な疾病管理戦略は改善される必要がある。各地域は近隣地域との連携が最小限にとどまり、独自の対策を講じている」と報告書で述べた。
EU は北イタリア全体で単一の戦略を採用することを勧告し、ジョルジャ・メローニ首相率いる政府は規則を定める特別委員を任命した。
感染地域内および近隣地域内での豚の移動は、屠殺場に向かう場合を除いて禁止されており、農場へのアクセスは最低限に制限されている。
「現在、私たちは豚の移動を制限する区域を設けるために障壁を建設しています」と国立豚コレラリファレンスセンターのフランチェスコ・フェリツィアーニ氏は AFP に語った。
豚肉産業界は非常に心配している
フランスは 2022年1月以来、北イタリアとの国境に接する地域、特にオート=アルプ県、アルプ・ド・オート=プロヴァンス県、アルプ=マリティーム県で厳重な警戒を続けている。
また、フランス政府によれば、6月には「大きな脅威」であるこの脅威に対する「より効果的な管理のための国境を越えた協力」を強化するために、イタリアとフランスの技術グループが設立された。
イタリア最大の農業協会コルディレッティのエットーレ・プランディーニ会長は AFP に対し、年間売上高 200億ユーロ(約 3兆2000億円)で 10万人を雇用するイタリアの豚肉産業で働く人々は「非常に心配している」と語った。
イタリアの農場では豚約 1000万頭が飼育されており、収入損失は約 2500万ユーロ(約 40億円)と推定される、と農家のカヴァニーニ氏は語った。
被害を受けた農家は国から補償金を受け取ることになるが、補償金は平均して届くのが 2年後だ。
ウイルスは何百人もの養豚業者にも影響を及ぼしており、彼らは農場間で豚を輸送することができず、補償されない「数億」ユーロ相当の損失を被っているとカヴァニーニ氏は述べた。
ジョバンニ・フィリッピーニ委員は、政府は「ウイルス感染防止のためにあらゆる措置を講じている」とし、「ここ数日、新たな感染拡大は起きていない」と述べた。
しかし、コルディレッティのプランディーニ氏は、農家はローン返済の猶予など、より大きな財政支援を受けるべきだと述べ、ウイルスの感染は抑制されるかもしれないが、完全になくなるわけではないと警告した。
「これらの地域からイノシシを完全に根絶できなければ、危機は過ぎ去っても再び発生する恐れがある」と彼は語った。