緑に満ちた南極に3000万年前に何が起きたのか
ちょうど、前回、「南極の氷の下から謎のエネルギー波を検出した」という記事を取り上げましたが、その後、さらに興味深い報道を見ました。
それは、
「南極の氷床の下に、3400万年前の大地が発見された」
というものでした。現在の氷床におおわれる前の、もともとの南極の大地です。
これは、衛星スキャンや氷貫通レーダーなどで見出された発見であり、研究結果は、ネイチャー誌に掲載されています。
それによれば、研究者たちは、ヤシの花粉の痕跡も発見したようで、つまり、3400万年前の南極は「熱帯」だったようです。
3400万年前の南極の想像図
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3400万年前の南極は、以下の図の右側のような状態だったようです。
現在の南極(左)と3400万年前の南極
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そのかつての景観が「そのまま氷に閉じ込められている」ということは、「徐々に寒冷化したわけではない」ことがうかがえます。
おそらくですが、南極は、
「突然、極端な寒冷化に見舞われ、そのまま氷に閉じ込められた」
のだと私自身は思います。
それから 3000万年にもわたって、氷に覆われたままです。
この研究についての記事をご紹介します。
南極大陸の地下に3400万年ぶりに失われた世界が発見される
A Lost World Has Been Discovered Beneath Antarctica After 34 Million Years
vice.com 2025/06/16
科学者たちは、南極の氷の下 1マイル (1.6キロメートル)の場所に、3400万年以上も日光を浴びていない巨大な隠れた景観を発見した。そこには、かつて川や森林、そして生命を支えていた可能性のある古代の谷や尾根が広がっている。
研究者たちは、衛星スキャンと氷貫通レーダーを用いて、東南極のウィルクスランドの奥深くに埋もれたこの領域を発見した。
その面積は約 1万2000平方マイル(米国メリーランド州とほぼ同じ)で、3400万年以上もの間、冷たくほとんど動かない氷に凍りつき、ほぼ完全な状態で保たれている。
「この発見はタイムカプセルを開けるようなものです」と、ダーラム大学の地質学者でネイチャー誌に掲載された研究論文の筆頭著者であるスチュワート・ジェイミソン教授は語った。
研究チームは、それぞれ長さ 約 120キロメートルから 170キロメートルの3つの巨大な隆起地塊を特定した。
これらの塊の間には、幅約 40キロメートル、深さ約 1,000メートルの深い谷が刻まれている。これらの特徴は、この地域がかつては河川によって形作られ、数千万年前に氷床に閉じ込められる前は、おそらく密集した植生が生い茂っていたことを示唆している。
氷河は地面を削り平らにすることが多いが、南極のこの地域の氷は非常にゆっくりと移動するため、氷河下の地形はほとんど侵食されていない。その結果、先史時代の地球がほぼ完璧な状態で凍りついている。
「東南極の氷床の下の陸地は、火星の表面ほどよく知られていません」とジェイミソン氏はデイリーメールに語った。「私たちは、その地形のごく一部をより詳細に調査することで、地形の進化と氷床の進化について何がわかるかを調べています」
ニューカッスル大学の共著者ニール・ロス教授は、この研究は南極大陸が将来の気候変動にどう反応するかを予測するのにも役立つ可能性があると述べた。
次の段階は掘削だ。科学者たちは、この埋もれた世界を掘削することで、古代の土壌、有機物、そして南極大陸が今日私たちが知る凍てつく大地となる以前の、温暖で緑豊かな時代の環境に関する手がかりが見つかる可能性があると考えている。
大陸の裏側に、先史時代の地球が刻まれているのが見つかるというようなことは、そうそうあることではない。
しかし、この発見は一つのことを明らかにした。地球には未だ謎が残っており、その驚くべき謎のいくつかは今も氷の中に閉じ込められているということだ。