洪水の時代 異常な現象

ニューヨークやシカゴを含むアメリカの28の大都市が地盤沈下中

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広範な地盤沈下

アメリカの 28都市が地盤沈下に見舞われている」という研究が、ネイチャー誌に掲載され、それが記事となっていました。

ニューヨーク、シカゴ、ダラス、デンバーなど、米国で最も人口の多い28都市が、年間 2~ 10ミリメートルの割合で地盤沈下しているのだそうです。

これだけだと大した地盤沈下には見えないですが、毎年毎年、少しずつ沈下していった場合、いつかは何らかの影響が大きく出るもののようで、特に、

・洪水の被害を受けやすくなる

・気づかないうちに建物やインフラに損傷が起きる

ということが懸念されているようです。

まあ、こういうのは都市部の宿命というのか、以前、中国の北京でも激しい地盤沈下が起きていることを記事にしたことがありました。

10年近く前の以下の記事です。

沈みゆく大国 : 中国の北京が毎年10センチメートルずつの急激な地盤沈下を起こし続けていることが最新の研究で判明。今のままでは30年後には完全な廃墟に
 In Deep 2016年6月29日

ここでご紹介した研究では、北京では「毎年 10センチ地盤沈下している」ということらしく、この記事から 9年経っていることを考えると、いつ地盤沈下の影響が大きく出ても不思議ではないのかもしれません。

アメリカでも中国でも、都市部の地盤沈下の最も大きな原因は、井戸水を使用しすぎていることらしく、記事には、

> 北京では、地下水は、工業用、農業用、そして、家庭用の主要な水源となっている。

とあり、しかし、これもまた、アメリカにしても中国にしても、地下水の使用を止めることができるわけでもなく、地盤沈下は止まらないのかもしれません。

「現代文明の中では、大都市は長くはもたない」

というのは、どこの国でもひとつの宿命なのかもしれません。

ネイチャー誌の研究を取り上げていた記事です。




衛星画像によると、ニューヨークやシカゴを含む米国の28都市が沈没中。「インフラは静かに危険にさらされている可能性がある」

Satellites show 28 US cities are sinking, including NYC and Chicago: 'Infrastructure can be silently compromised'
space.com 2025/05/08

土地がわずかに下方に移動するだけでも、時間の経過とともに建物、道路、橋、鉄道の構造的健全性が大幅に損なわれる可能性がある。

新たな研究によると、ニューヨーク、シカゴ、ダラス、デンバーなど、米国で最も人口の多い 28都市は、年間 2~ 10ミリメートルの割合で地盤沈下しているという。

バージニア工科大学と州立大学の研究チームは、衛星レーダー測定を用いて、米国の主要都市における地盤沈下の高解像度地図を作成した。

調査対象となった 28都市では、それぞれ少なくとも 20%の地盤沈下が見られ、25都市では少なくとも 65%の地盤沈下が見られた。

テキサス州の都市では地盤沈下率が最も高く、特にヒューストンが先頭を走っている。ヒューストンでは、市街地の約 40%が年間 5ミリメートル以上の沈下を示しており、12%は年間 10ミリメートルの沈下を示している。

バージニア工科大学の元大学院生でこの研究の筆頭著者であるレナード・オーヘンヘン氏は声明で以下のように述べた。

「土地がわずかに下方に移動するだけでも、時間の経過とともに建物、道路、橋、鉄道の構造的健全性に重大な影響を与える可能性がある」

地盤沈下は世界中で珍しくなく、多くの地域が自然の地質学的プロセスによって沈下している。

しかし、バージニア工科大学の研究チームは、米国における都市部の地盤沈下の 80%は、人間の利用を目的とした地下水の汲み上げに起因すると結論付けた。

都市の発展に伴い、この問題はさらに悪化する可能性がある。

地盤沈下は、気候変動によって海面上昇の脅威にさらされている沿岸都市にとって確かにリスクとなるだけでなく、内陸都市にも危険をもたらし、洪水が発生しやすくなる。

さらに、都市全体で不均一な地盤沈下が発生すると、建物やインフラの安定性が損なわれる可能性がある。

バージニア工科大学地球観測イノベーション研究所のマヌーチェル・シルザエイ准教授は声明で以下のように述べた。

「このリスクの潜在的な性質は、インフラが時間の経過とともに気づかれずに危険にさらされ、被害が深刻、あるいは潜在的に壊滅的になったときに初めて明らかになる可能性があることを意味する」

都市部の地盤沈下を完全に止めることはできないが、その緩和に取り組むことは可能だ。この研究によると、地盤沈下監視の改善、地下水管理政策の見直し、インフラの強靭性計画など、実行可能な対策が挙げられている。

この研究は 5月8日にネイチャー誌に掲載された。







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