地球の記録 – アース・カタストロフ・レビュー

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感染経路不明のままシンガポールで急速に拡大しているジカ熱。患者数は3日間で100人を超える

   

日本をはじめ各国の保健省はシンガポールへの妊婦の渡航自粛を勧告

2016年8月31日の米国CNNより
singapore-zika-2016Why is Zika spreading so quickly in Singapore?

 

この数日、シンガポールで急速にジカウイルスが拡大しています。

8月28日に「シンガポール保健省は 28日、国内でジカウイルス感染者 41人を確認したと発表」(読売新聞)という報道があった3日後の 8月31日には、シンガポールで確認されたジカ熱患者が 100人を超えました。そのほとんどに「海外渡航歴がない」ことから、シンガポール国内での感染が拡大しているようなのです。

シンガポールは下の位置にあり、東南アジアの経済活動の中心的な国でもあり、周辺国への影響も大きいですが、今回の感染拡大は冒頭の CNN の報道タイトルにありますように、「あまりにも急速に」拡大している感じがあります。

シンガポールの位置

singapore-map・Google Map

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8月31日時点でのシンガポールの状況は下のようになっています。

シンガポールのジカ熱患者115人に 感染経路不明

朝日新聞デジタル 2016/09/01

シンガポールの保健省によると、8月27日に同国初のジカ熱の国内感染が確認されて以降、31日までに感染者は完治した人も含めて計115人に達した。

感染経路は特定できておらず、これまで感染者が集中していた地区以外にも広がりつつある。

感染者はジカ熱が流行する中南米などへの渡航歴がなく、全員が国内で感染したとみられている。

ジカ熱は妊娠中の女性が感染すると、頭部が先天的に小さい子どもが生まれる恐れがあるとされる。保健省は蚊の駆除地域を広げる方針を決め、国内すべての妊婦に対し、発熱があれば受診するよう求めている。

日本の厚生労働省も29日、シンガポールをジカ熱の流行地域に指定し、妊婦らに可能な限り、渡航を控えてほしいと呼びかけている。米疾病対策センター(CDC)や英国、オーストラリア、韓国、台湾も妊婦らにシンガポールへの渡航延期を勧めている。

ということで、「シンガポールで初めてのジカ熱患者」が発生してから4日目で、感染者が 100人を超えるということになっています。

非常に急激な拡大ぶりがわかるのですが、問題は、このジカ・ウイルスというのは「症状の発症率が非常に低い」ということです。

つまり、「自分が感染しているかどうかがわかりにくい」ものでもあるのです。たとえば、国立感染症研究所のジカウイルス感染症のページには、以下のような説明があります。

(ジカウイルスの)潜伏期間は3~12日である。不顕性感染率は約80%とされている。

とありますが、この「不顕性感染率」とは、ウイルスに感染しても症状が出ない人の割合で、つまり、ジカウイルスに感染しても 80%は「症状が出ない」ので、自分が感染したのかどうかわからないということです。

この率から推測しますと、現在のシンガポールでは数百人のジカウイルス保持者がいるというように考えてもおかしくはないです。

そしておそらく、症状が出なくとも、蚊、あるいは性交渉による他者への感染力は持っているということになると思われまして、また、年中暖かいシンガポールでは、蚊が常に行動しやすい環境のため、拡大する時にはしてしまう条件はあるのかもしれません。

同じような例として、シンガポールの保健省は、今年 2016年のシンガポールでのデング熱の感染者が3万人を超えたと発表していますが、デング熱とジカ熱は、同じ蚊が媒介します。

つまり、デング熱と同じような拡大を見せても不思議ではないということにもなりかねない部分はあります。

シンガポールで徹底的に行われている蚊の駆除

ika-mosquitoes Singapore urges tests for pregnant women with symptoms

シンガポール政府は、蚊の徹底的な駆除を行うと共に、蚊の発生しやすい環境を作らないことを市民たちに勧告していますが、デング熱の時もウイルス媒介の封じ込めは、それほどうまくいかなかったですので、今後、シンガポールがどのようになるのか懸念されます。

オリンピック後に突如としてシンガポールでジカ熱が拡大しているわけですが、この時期的な「偶然」を考えますと、他の国や地域でも、同じようなことが起きる可能性はあります。

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