-50℃にまで気温が下がったイリノイ州では「5分で凍傷になる気温」なので外出には注意をという勧告も
2019年1月29日の報道より
少し前に、以下の記事で、アメリカに北極からの強力な寒気「極渦」がやってきていることをお伝えしました。
その極渦の影響は、予想されている以上に厳しいもので、すでに、-40℃、あるいは -50℃といった気温を記録する地域が、カナダやアメリカにで出てきています。
少し見づらいかもしれないですが、1月29日の北米大陸全域の気温分布は以下のようになっています。
1月29日の北米大陸全域の気温分布
アメリカの幅広い地域で、気温がとても低くなっていることがおわかりになるのではないかと思います。
通常は温暖なアメリカ南部も、氷点下にまで下がっている場所も見られます。メキシコなどもかなり気温が低いこともわかります。
この寒波は、アメリカの3分の2の地域に氷点下より低い気温をもたらしているとのことで、今後、2億1200万人のアメリカ人が氷点下を経験することになるだろうと報じられています。
この極端な寒波により、シカゴで 2700便の航空機の運航が取り消された他、各地で凍結などによる交通の混乱も起きています。
1月29日 凍結したニューヨークの運河。貨物船が航行できない状態
また、寒さが原因と見られる死者も 3人確認されていると報じられています。
気温が -50℃近くにまで下がっているイリノイ州では、知事が「 5分で凍傷になる気温なので外出には注意して下さい」というように発表しているほどです。
なぜ、現在のアメリカがこのようなことになっているのかということが、NOAA (アメリカ海洋大気庁)のウェブサイトで解説されていました。
下の図の左が通常の極渦の状態で、右が現在の状態です。
極渦が現在のアメリカに極端な寒波をもたらしている仕組み
・NOAA
本来的には、北極の上空にとどまっている極渦が、非常に広い範囲で南方へと拡大しているということになるようです。
かつては、こんなことは頻繁には起きなかったわけで、やはり地球の大きな大気の流れの変化が関係しているのだと思われます。
そして、この極渦が北米やヨーロッパにもたらしているこの寒波は、決して一過性のものではないという事実があります。ルーマニアの気象局は、この極渦による極端な寒波は、2月にも、そして 3月上旬にも同じような凍結状態をもたらすと予測しています。
どうやら、従来の極渦のメカニズムが崩壊してしまったという面もあるのかもしれません。
そして、このような状態が繰り返し起きることは、その地域の気温や気象の状態を根本から変えてしまうものとなるかもしれません。