疾病と感染症

米国で増加するペスト : アリゾナ州やカリフォルニア州で次々と検出されるペスト菌

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2016年6月8日のアリゾナ州のメディアより

plague-arizona-01Arizona Daily Sun

2016年6月7日のカリフォルニア州のメディアより

plague-tahoe-01RGJ

上のように、ここ数日、アメリカでペスト菌が次々と検出されています。

アリゾナ州ココニノ郡では、齧歯類(ネズミ科)のプレーリードッグの巣の周辺から検出されたとのことで、カリフォルニア州エルドラド郡のタホ湖のキャンプ場では、シマリスについていたノミからペスト菌が検出されたそうです。

a-c-plagueGoogle Map

アメリカは毎年それなりにペスト菌が検出され、ヒトの感染者もある程度は出ますが、実は昨年からアメリカのペストの患者、死者数が増えているのです。

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2000年からのアメリカでのペストの患者数と死者数の推移は下のようになっています。

us-plague-casesBBC

 

上のデータは、BBC の「なぜ、米国はペストを根絶できないのか?」(Why hasn't the US eradicated the plague?)というタイトルの記事にあったもので、このタイトルのようにアメリカではペストは根絶されていません。

そして、昨年 2015年は、過去 15年の中で2番目にペストに感染した人の数が多く、ペストで死亡した人の数は最も多いということになっていて、「増加傾向」にあるようなのです。

そのようなこともあり、冒頭の報道には森林局などによる警告が記されています。

それはたとえば、

・リス、シマリスや他の野生の齧歯類(ネズミ科の動物)にエサを与えないこと

・病気または死亡している齧歯類には絶対に触れないこと

・齧歯類の巣の高くでキャンプをしたり、睡眠や休息をとらないこと

のようなものです。

ペストは細菌感染ですので、治療には抗生物質がよく効くために、今では以前ほど恐ろしい病気ではなくなっています。

では何が問題なのか。

それは、少し前に書きました、

「西洋医療の崩壊」は防げるか : 抗生物質の黙示録の時代に出現した「新しいスーパー抗生物質テイクソバクチン」と、スーパー耐性菌の未来の戦いの行方
In Deep 2016/05/30

などの記事に記しましたように、「今どんどん抗生物質が効かなくなっている」のです。

仮に抗生物質が効かないペスト菌というようなものが出現した場合、かつての黒死病と同じ脅威の存在となりかねないということがあります。

この抗生物質が効かないという状態がさらに広がっていった場合、ペストに限ったことではないですが、これまで簡単に治療できていた、何でもなかった感染症が恐ろしいものとなって「再出現する」という可能性はないとは言えないのかもしれません。







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